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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme

Aozora Bunko

甘夫人は、狂喜のいろをつつんで、関羽にたずねた。

「将軍、ここを去るのは、いつの日ですか」

関羽は、口すくなく、

「朝夕のあいだにあります」と、漠然答えた。

彼はまた、出発の準備をするについて、二夫人にも云いふくめ、召使いたちにも、かたく云い渡した。

「この院に備えてある調度の品はもちろんのこと、日頃、曹操からそれがしへ贈ってきた金銀緞匹、すべて封じのこして、ひとつも持ち去ってはならない」

なお彼は、その間も、毎日、日課のように、府門へ出向いてみた。そしては、むなしく帰ることが七、八日に及んだ。

「ぜひもない。……そうだ、張遼の私邸をたずねて、訴えてみよう」

ところがその張遼も、病気と称して、面会を避けた。何と訴えても、家士は主人に取次いでくれないのである。

「このうえはぜひもない!」

関羽は、長嘆して、ひそかに意を決するものがあった。真っ正直な彼は、どうかして曹操と会い、そして大丈夫と大丈夫とが約したことの履行によって、快く訣別したいものだと日夜苦しんでいたのであるが、いまはもう百年開かぬ門を待つものと考えた。

「何とて、この期に、意をひるがえさんや」

その夜、立ち帰ると、一封の書状をしたためて、寿亭侯の印と共に、庫の内にかけておき、なお庫内いっぱいにある珠玉金銀の筥、襴綾種々、緞匹の梱、山をなす名什宝器など、