Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
すべての品々には、いちいち目録を添えてのこし、あとをかたく閉めてから、
「一同、院内くまなく、大掃除をせよ」と、命じた。
掃除は夜半すぎまでかかった。その代りに、仄白い残月の下には、塵一つなく浄められた。
「いざ、お供いたしましょう」
一輛の車は、内院の門へ引きよせられた。二夫人は簾のうちにかくれた。
二十名の従者は、車に添ってあるいた。関羽はみずから赤兎馬をひきよせて打ちまたがり、手に偃月の青龍刀をかかえていた。そして、車の露ばらいして北の城門から府外へ出ようとそこへさしかかった。
城門の番兵たちは、すわや車のうちこそ二夫人に相違なしと、立ちふさがって留めようとしたが、関羽が眼をいからして、
「指など御車に触れてみよ、汝らの細首は、あの月辺まで飛んでゆくぞ」
そして、からからと笑ったのみで、番兵たちはことごとく震い怖れ、暁闇のそこここへ逃げ散ってしまった。
「さだめし、夜明けとともに、追手の勢がかかるであろう、そち達は、ひたすら御車を守護して先へ参れ。かならず二夫人を驚かし奉るなよ」
云いふくめて、関羽はあとに残った。そして北大街の官道を悠々、ただひとり後からすすんでいた。