Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
呂布は、すぐ察した。
ひとりは玄徳の母。
その傍らにあるのは夫人。
手をひいている幼な児たちは玄徳の子であろう。
「…………」
老母は、なにもいわない。
夫人もうつろな眼をしている。
ただ、白い涙のすじが、その頬をながれていた。そして、――どうなることか?
と、恐怖しているものの如く、無言のうちに、微かなおののきを、その青白い顔、髪の毛、唇などに見せていた。
「ははは、あははは」
呂布は突然笑った。
わざと、笑いを見せるために笑ったのであった。
「夫人。ご母堂。――安心するがよい。わしは御身らのごとき婦女子を殺すような無慈悲な者ではない。……それにしても、主君の家族らを捨てて、逃げ落ちた不忠な奴輩は、どの面さげて、玄徳にまみえるつもりか、いかに狼狽したとはいえ、見さげ果てた者どもではある」
呂布は、傲然と、そう呟きながら、部将を呼んで、いいつけた。
「玄徳の老母や妻子を、士卒百人で守らせておけ、みだりにこの室へ人を入れたりなどしてはならんぞ。また、護衛の者どもも、無慈悲なことのないようにいたせよ」
呂布はまた、そう云いわたしてから、夫人と老母の姿を見直した。