Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
「張英、陳横を逃がすな」
という号令の声が高く聞えた。
張英は驚いて、
「あッ、敵には備えがあったらしいぞ、立騒がぬところを見ると、何か、計があるやも知れぬ」
味方の軽はずみを戒めて戦っていたが、もとより秣陵の城内をほとんど空にして出て来た小勢である。たちまち、撃退されて、
「もどれもどれ。城中へひきあげろ」と、争って引っ返した。
すると途中の林の中から、
「孫策これにあり! 秣陵の城はすでに、わが部隊の手に落ちているのに、汝らは、どこへ帰る気かッ」と、呼ばわりながら、騎馬武者ばかりおよそ四、五人、真っ黒に馳けだして来て、張英の行く手をふさいだ。
張英は、わが耳を疑いながら、たかの知れた敵蹴ちらして通れ――と下知しながら、はや血戦となった中を馳けていたが、そのうちに、
「張英とは、汝かっ」
と、正面へ躍ってきた一騎の若武者がある。
見れば、過ぐる日、自分が城の矢倉から狙い撃ちして、見事、射止めたと信じていた孫策であったので、
「やっ、死んだとは、偽りであったか」
仰天して逃げかけると、
「浅慮者ッ」と、大喝して、孫策の馬は後ろから彼の馬の尻へ重なった。
とたんに張英の胴は、黒血三丈を噴いて、首はどこかに飛んでいた。