Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
「今、不覚にも自分は、みずから法令を出して、その法を犯してしまった。すでに、統率者自身、統率をやぶったのだ。何をもって、人を律し、人を正し、人を服させよう。――予は、自害して、法を明らかにするのが、予の任務であると信じる。諸軍よ、予の死を悲しまず、さらに軍紀を振起し、一意、天下の為に奉ぜよ」
云い終ると、剣を抜いて、あわや自刃しようとした。
「滅相もない!」
諸将は、愕然として、彼の左右から押しとどめた。
「お待ち下さい。春秋の語にも、法は尊きに加えず――とあります。丞相は大軍を統べ給う身、丞相の生死は、軍全体の死活です。われわれが可愛いと思ったら、ご自害はお止まりください」
「ムム、そうか。春秋の時すでにそういう古例があったか。しからば、父の賜ものたる髪を切って、断罪の義に代え法に服した証となそう」
と、わが髪をつかみ、片手の短剣をもって、根元からぶすりときって、主簿に渡した。
秋霜厳烈!
それを目に見、耳につたえて、悚然、自分を誡めない兵はなかった。
二
行軍は、五月から六月にかかった。六月、まさに大暑である。
わけて河南の伏牛山脈をこえる山路の難行はひと通りでない。