Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
先に引っ返した陳登は、宵闇のとっぷりと迫った頃、蕭関に行き着いて、駒を降りるや否、
「一大事が起った」と、あわただしく、陳宮を呼びだして、息を喘きながら告げていた。
「――今日、曹操の大軍は、急角度に方向を変え、泰山の嶮や谷間をわたって、一斉に徐州へ攻め入ったという急報です。それ故、ここをお守りあっても、何の効もありません。速やかに、手勢をひいて、徐州を助けに向えとの命令です」
「えっ?」
陳宮は、愕然と、胆を冷やした顔いろだった。
応とも、否とも、陳宮が答えないまに、陳登はそう云い放したまま、すぐ駒にとび乗って、闇の中へ馳け去ってしまった。
陳宮は、信じたとみえて、それから半刻とも経たないうちに、蕭関の守兵は、続々と砦を出て徐州のほうへ急いで行った。
砦はがら空になった。
するとその――寂たる暗天の望楼台に、一つの人影が起ち上がった。
駒を飛ばして駈け去ったはずの陳登であった。
陳登は鏃に密書をむすび、その矢をつがえて、搦手の山中へ、ひょうっと射た。
「……?」
真っ暗な山ふところを見つめていると、やがて、松明を振っていた。
(矢文、見た、承知)
の火合図なのである。