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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme

Aozora Bunko

天子を何処へお移し申すか。暴賊の手にまかすような破滅となったら、それこそおのおのの武勇も……」

と、争っているところへ、室の外で、誰か二、三の人々が呶鳴った。

「何を長々しいご詮議だて、そんな場合ではありませんぞ、もはや敵の先鋒が、あれあのとおり、馬煙をあげ、鼓を鳴らして、近づいて来るではありませんかっ」

帝は、驚愕して、座を起たれ、皇后の御手を取って、皇居の裏から御車にかくれた。侍衛の人々、文武の諸官、追うもあり、残るもあり、一時に混雑に陥ちてしまった。

御車は、南へ向って、あわただしく落ちて行かれた。

街道の道の辺には、飢民が幾人もたおれていた。

飢えた百姓の子や老爺は、枯れ草の根を掘りちらしていた。餓鬼のごとく、冬の虫を見つけて、むしゃむしゃ喰っている。腹膨れの幼児があるかと思うと、土を舐めながら、どんよりした眼で、

――なぜ生れたのか。

と云いたげに、この世の空をぼんやり見ている女がある。

奔馬や、帝の御車や、裸足のままの公卿たちや、戟をかかえた兵や将や、激流のような一陣の砂けむりが、うろたえた喚き声をつつんで、その前を通って行った。

土を舐め、草の根を喰っている、無数の飢えたる眼の前を後から後から通って行くのであった。