Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
玄徳は見向きもしない。けれど董承は、ぎょっとして、廊をさしのぞいた。
見れば、玄徳の護衛のため、夜どおし外に佇立していた臣下であった。いや義弟の関羽と張飛の二名だった。抱き合って、うれし泣きに、泣いている様子なのである。
「……あ、二人も、ここの密談を洩れ聞いて」
董承は、羨ましいものさえ覚えた。義状に名をつらねた人々のちかいも、もし玄徳と義弟たちの間のように、濃くふかく結ばれたら、必ず大事は成就するが――と思った。
硯を持って、玄徳は静かに、彼の前へもどってきた。
そして、義状の第七筆に、
左将軍劉備。
と、謹厳に書いた。
筆をおいて、
「決して生命を惜しむのではありませんが、これだけはかたく奉じていただきたい。ゆめ、軽々しく、動かないことです。時いたらぬうちに軽挙妄動するの愚を戒めあうことです」
暁の微光が、そういう玄徳の横顔を、見ているまに、鮮やかにしていた。遠く、鶏鳴が聞えた。
「……では、いずれまた」
客は、驢に乗って、朝霧のなかを、ひそかに帰って行った。
青梅、酒ヲ煮テ、英雄ヲ論ズ
一
「張飛。――欠伸か」
「ムム、関羽か。毎日、することもないからな」