Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
「晩の門出に、軍旗の血祭りにそなえてくれる。あれに見える大木の上にくくり上げておけ」
と、云いつけた。
士卒は、泣き叫んで、掌を合わせたがゆるさない。高手小手にいましめられて、大木のうえに、生き礫刑とされてしまった。
夕方になると、たくさんな鴉がその木に群れてきた。張飛に打ちたたかれて、肉もやぶれ皮も紫いろになっている士卒は、もう死骸に見えるのか、鴉はその顔にとまって、羽ばたきしたり、嘴で眼を突ッついたり、五体も見えないほど真黒にたかってさわいだ。
「ひィっ……畜生っ」
悲鳴をあげると、鴉はぱっと逃げた。ぐったり、首を垂れていると、また集まってくる。
「――助けてくれっ」
士卒はさけび続けていた。
すると、夕闇を這って、仲間のひとりが、木に登ってきた。何か、彼の耳もとにささやいてから、縄目を切ってくれた。
「畜生、この恨みをはらさずにおくものか」
半死半生の目に会った士卒も、その友を助けた士卒も、抱き合って、恨めしげに張飛の陣地を振向き、闇にまぎれて何処ともなく脱走してしまった。
二
陣営のうちで、張飛はまだ酒をのみつづけていた。
そこへ士卒の一伍長が、あわただしく馳けこんできて、