Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
「吉平。汝は知らんか」
「知らぬ」
「汝に智恵をさずけて、予に毒をのませんと計った首謀者は何者か」
「三歳の童子ですら、みずから為すことはみずから知る。朝廷破壊の逆臣、天に代って、生命をとらんと誓ったのは、かくいう吉平自身である。何でひとの智恵を借ろうか」
「舌長な曲者め。しからば、汝の手の指のひとつ足らぬは如何なるわけか」
「すなわち、この指を咬み切って悪逆曹操をかならず討たんと、天地に誓いをたてたのじゃ」
「ええ、いわしておけば」
と、曹操は、獅子のごとく忿怒して、残る九本の指をみな斬り落せと獄吏に命じた。
吉平は、ひるむ気色もなく、九本の指を斬られてもまだ、
「われ口あり、賊を呑むべし。われ舌あり賊を斬るべし」とさけんだ。
「その舌を引き抜いてしまえ」
曹操の大喝に、獄卒たちが彼を仰向けに押したおすと、吉平は初めて絶叫をあげ、
「待て。待ってくれ。舌を抜かれてはたまらん。乞う。しばしわしの縄を解いてくれい。この上はわしの手で、首謀者を丞相の前へ突きだして見せるから」と、いった。
「望みにまかせて解いてやれ。狂いだそうと、何ほどのこともなし得まい」
曹操のことばに、彼は縄を解かれた。