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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme

Aozora Bunko

董承のことはかねがねべつな意味で、案じられているところである。

折ふし、宮中に騒然たる物音がわきはじめた。何事かと疑っているうちに、後宮の碧門を排し、突忽として姿を現した曹操と武士たちが、玉廊を渡ってこれへ馳けてきた。

曹操は、突っ立ったまま、

「ああ。何たる悠長さだ。陛下。董承の謀叛もご存じないのか」と、声を励ましていった。

帝は、冷静に、

「董卓は、もう亡んでいる」と、機智をもって答えられた。

「董卓などのことではありません! 車騎将軍董承のことである」

「えっ……董承がどうしたというのか。朕は何事もわきまえぬが」

「御みずから指をかみやぶり、玉帯に血詔を書いて降し給うたことはもうお忘れか」

愕然、帝は魂を天外へ飛ばし、龍顔は蒼白となって、わななく唇からもう御声も出なかった。

「一人謀叛すれば九族滅すという。知れきった天下の大法である。――それッ武士ども、董承のむすめ貴妃を、門外にひき出して斬ってしまえ」

曹操の下知に、帝も皇后も、のけ反るばかり愕かれて、臣下たる彼へむかって、万斛の涙をながして憐愍を乞うたが、曹操は、頑としてきかない。彼の満面、彼の全身、さながら憤情の炎であった。