Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
と、侍臣をやって、呼びもどした。
「なにか御用ですかな」
関羽は、うららかな面をもってやがてそれへ来た。
曹操は手ずから秘蔵の瑠璃杯をとって、簡単に一杯すすめ、
「将軍の着ておられる緑の袍は緑錦の地色も見えないほど古びておるな。陽もうららかになるとあまりに襤褸が目につく。これを着たまえ。――君の身丈にあわせて仕立てさせておいたから」
と、見事な一領の錦袍をとって彼に与えた。
「ほ。……これは豪奢な」
関羽はもらい受けると、それを片手に抱えて帰って行った。ところが、その後、何かの折に、曹操がふと関羽の襟元を見ると、さきに自分の与えた錦の袍は下に着て上には依然として虱の住んでいそうな緑色のボロ袍をかさね着して澄ましこんでいた。
「羽将軍、君は武人のくせに、えらい倹約家だな。なぜそんなに物惜しみするのかね」
「え。どうしてです? 特に贅沢したくもないが、また特に倹約している覚えもありませんが」
「いや、やはりどこか、遠慮があるのだろう。曹操が賄うている以上は、何不自由もさせないつもりでおるのに――なにも、新しい衣裳を惜しんで古袍をわざわざ上に重ね着しているにもあたるまい」