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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme

Aozora Bunko

――食糧と財がなければ、兵はみな馬や武器を盗んで、

「今が見限り時」とばかり、陣を脱して逃亡してしまうのも、当り前のようにしている彼らの乱世生活であった。

山深く、廃寺の奥にひそんで、玄徳が身辺を見まわした時は、関羽、張飛、そのほか十数名の直臣と、数十騎の兵しか残っていなかった。

そこへ、呂布の使いが来た。

「また、何か詐わりを構えて来たのだな」

関羽は、その内容の如何を問わず反対した。張飛もまた、

「家兄、行ってはなりませんぞ」と、止めた。

「否とよ」

が、玄徳は、彼らをなだめて、呂布の招きに応じようとした。その理由は、

「すでに、彼も善心を起して、自分へ情けを寄せてきたのだ。人の美徳を辱めるのは、人間の良心へ唾することになろう。この暗澹たる濁世にも、なお、人間の社会が獣にまで堕落しないのは、天性いかなる人間にも、一片の良心は持って生れてきているからである。――だから人の良心と美徳は尊ばねばならぬ」と、いうのであった。

張飛は、蔭で舌打ちした。

「すこし兄貴は孔子にかぶれておる。武将と孔子とは、天職がちがう。――関羽、貴様もよくないぜ」

「なぜ俺が悪い?」

「閑があると、おぬしは自分の趣味で、兄貴へ学問のはなしをしたり、書物をすすめたりするからいけないんだ。