Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
彼は、老母と一族を、曲阿の身寄りへあずけておいて、十七歳の頃から諸国を漂泊した。
ひそかに誓う大志を若い胸に秘めて、国々の人情、地理、兵備などを見て歩いた。いわゆる武者修行の辛酸をつぶさになめて遍歴したのである。
そして、二年ほど前から、淮南に足をとめて、寿春城の袁術の門に、食客として養われていた。
袁術と、亡父孫堅とは、交わりのあった仲であるのみならず、孫堅が劉表と戦って、曲阿の地で討死したのも――まったく袁術の使嗾があの合戦の動機でもあったから、――袁術も同情して、
「わが手許におるがよい」と、特にひきとめて、子の如く愛していたのであった。
その間、県の戦に出て、大功をあらわし、盧江の陸康を討伐に行って、比類なき戦績をあげた。
平常は書をよみ、挙止物静かで、よく人に愛賢を持っていたので、ここでも、
「彼は、大江の※魚だ」と、人々に嘱目されていた。
その孫策は、ことし二十一。――暇あれば、武技を練り、山野に狩猟して、心身を鍛えていたが、その日も、わずかな従者をつれて、伏牛山に一日を狩り暮し、
「ああ、くたびれた」と、中腹の岩に腰かけて、荘厳なる落日の紅雲をながめていた。