Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lisez スウィス日記 (スウィスにっき) de 辻村 伊助 (つじむらいすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 216 275 caractères · 410 écrans

Aozora Bunko

コリコ Colico

た湖上に遠く響きわたる。が、船は音の割り合いに速くはない。

スウィス境の雪の山は、もうマストに近く屹えて、ピオナの鼻を右に廻ると、岸は冬枯れのままの雑木林で、山が近いせいか、空は次第に掻き曇って、吐息でもつくように、思い出してはさっと吹き下ろす夕風も、白樺の香をつたえてうそ寒い。

コリコ Colico

湖水の北のはずれは、やや東に折れ曲って、岸の浅瀬には、枯れ芦がざわざわと風に乱れている。コリコはその南側で、ミラノから、ブレガリヤのキヤヴェンナまで通う鉄道が、この小村にも寄ってゆくが、なまじ二すじの軌道と、幾条の電線が、村の細路を貫いてゆくのが、かえって御客に素通りをされそうで心細い。船つきのすぐそばに、ホテル・リジ Hotel Risi と看板をかけた小屋が一軒、船から下りたのも、そこに泊ったのも私一人で、宿の人達も、西の風で舞い込んだ、見なれない旅人に、よほど面喰らったものと見える。

通されたのは二階の角座敷、と云うといかにも体裁はいいが、薄っくらい無気味な室で、探偵小説には、えてこんなのが引き合いに出される。建てつけの悪い窓を、やっとあけると、葡萄棚の下に鶏が三羽、埃の中に膨らんで、背戸の松薪の、山のようなのも山家らしい佗住居、日はまだあるが、鼠に曳かれそうで心細い。