Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Leggi 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) di 三上 於菟吉 (みかみおときち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 344.083 caratteri · 673 schermate

Aozora Bunko

菊之丞師匠は、雪之丞の好評を、耳にするたびに、おりおりは溜息をつかずにはいられない――

――ああ、これで、あの人が、芸道のみがいのちの男なら、どんなにわしもうれしいことか――腕一本、熱心一途で仕上げて来た、この中村菊之丞の名跡、あれでなければ継がせたいものもなく、あれが襲名してくれさえすれば、わしの名は、未来永劫、芝居道の語りつたえにものころうもの――だが、それは出来ぬ望みだ。かなわぬ夢だ。かれには、人並はずれた大望がある。あれは、それを成就するためばかりに生きている男だ。ほんに、この世は、ままならぬことばかりだなあ。

師匠の、そういう気持は、雪之丞にもよくわかるのだ。

――お師匠さまも、わしのようなものが、この大江戸で、分外の人気を得たのを御覧になるにつけても、いつまでも手元に引きつけて、面倒を見てやりたいともお思いになっていように――わしのこの一身を、お師匠さまと、芸術と――この二つのためだけに、ささげることが出来ぬというのは、何とかなしいことであろう――すまないことであろう――お師匠さまの、寝られぬ床のためいきが、耳につくたび、申しわけがない気がしてなりませぬ。