Classici giapponesi con furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Leggi 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) di 三上 於菟吉 (みかみおときち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 344.083 caratteri · 673 schermate
九
九
人間、怨執のきわまるところ、わが手を下さずして、おのずと、仇敵を亡ぼすことすら出来るという、この怖ろしい実例を、さまざまと耳にして、雪之丞はもとより、師匠菊之丞、肌えに粟を生じ、髪の毛も逆立つ思いで、見えざる加護者に対して手を合せないわけにはいかない。
雪之丞は、さも、こころよげな、亡き父、亡き母の、乾いた笑いが、修羅の炎の中から聴えて来るような気がして、涙が流れて来た。
「あッしも、全くびっくりしやしたよ」
と、闇太郎は、菊之丞を眺めて、
「まあ、あのやさしい細い手で、横山五助のような荒武者を、一突きで、突き殺せるたあ、だれにだって、思いもよらねえこッてすからな」
「うむ、なにごとも、み旨でござりましょう」
と、菊之丞が、うなだれていう。
と、闇太郎が、語調をかえて、
「で、そんなわけだから、どうも、あの娘のいのちが、おいらにゃあ、気になってならねえのさ。人間、とても及びもつかねえことを仕遂げると、そのあとじゃあ、命脈がつづかねえこともある――な、だからよ、雪さん、ちょいとでいい、あの人の枕元にすわって、さぞ辛かったろうなあ――と、たったひと言、言ってやった方が、いいだろうと思うんだが――」