Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Leggi 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) di 三上 於菟吉 (みかみおときち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 344.083 caratteri · 673 schermate

Aozora Bunko

九

賊と聞いても、怖ろしいどころか、却って懐しく、どうかして、もう一目逢いたいようにすら思うのだった。

辻駕籠が、月なき星空の下を、北へ飛ぶ。もう直き、旅籠のある、山ノ宿だ。

九

雪之丞の駕籠は、間もなく、大川の夜の霧が、この辺まで、しめじめと這い寄って、ぼうっと薄白く漂っている、山ノ宿の、粋な宿屋町までやって来た。

「山ノ宿へ着きましたが、――」

と、先棒が言った。

「ああ、御苦労さま、――ついそこの、花村と言う、旅宿の前に着けて下さい」

と、雪之丞は答えた。

駕籠は、屋号をしるした行灯が、ほのかに匂っている一軒の、格子戸の前に降された。

駕籠やは、酒代にありついて、喜んで戻って行く。

格子が開いて、玄関に、膝をついて出迎える女中たち。揃って、小豆っぽい唐桟柄に、襟をかけ、黒繻子の、粋な昼夜帯の、中年増だ。

「若親方――お帰りなさい」

と、いう声々にも、上方の人気女形の宿をした、旅籠の召使いらしい、好奇と喜びとが溢れている。

うしろから、眉は落しているが、歯の白い、目にしおのある、内儀が顔を出して、

「ついさっき、お供のお人が周章てて、駈け込んでおいでだから、どうしたのかと、親方さんに伺ったら、なあに何でもない。