Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Leggi 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) di 三上 於菟吉 (みかみおときち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 344.083 caratteri · 673 schermate

Aozora Bunko

一五

雪之丞は、お初が、不思議ないたずら気から、取って返したのを見ると、ホッとした。

――痴な奴だ――飛んで火に入る虫じゃ。

気が、楽になって、スウッと、身を、左にまわすと、伴れの侍が、それに誘い込まれたように、中段に取っていた刀を一閃させて、

「やあッ」

と、薙いで来るのを、かわしてやりすごすと同時に、左手の拳がパッと伸びて、十分に、脾腹にはいった。

ウウウンと、のけぞる侍――

一五

当身を食って、大刀こそ放しはせぬが、

「む、ううむ」

と、うめいて、のけぞって、体が崩れて、そのまま、苅田の畦の中に、溜り水を刎ねかして倒れてゆく侍――

「雪、さすがだな――」

平馬は、それと見て、奥歯を噛むようにして、うめいて、

「生意気な!」

彼は、雪之丞が、剣を使わず、拳を用いたのが腹立たしかったのだ。

彼等二人は、この先きに、最近出来た、河岸の料亭に、剣客仲間の会があった崩れで、かなり酔っていたのだ。当て落されたのは、間柄助次郎といって、鳥越に道場を出している男、さまで、劣っていない身が、一瞬で敗を取ったのを見ると、平馬も、今更、警戒せざるを得ない。

が、憎い! 出逢い次第、どうしても、生かしては置けぬほど、彼は、雪之丞が憎い! その憎みが、どこから来たかは、彼にも、はっきりいえないのだ――師匠が自分を疎外して、あの白紙の巻軸