Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Leggi 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) di 三上 於菟吉 (みかみおときち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 344.083 caratteri · 673 schermate

Aozora Bunko

五

「浪路さま!」

雪之丞の、腋下からは、冷たい汗が、しとどに流れ落ちて来る――

――ああ、何という浅間しいいつわりがこの口から出るのであろう! だが、わしはもっと、嘘をつかねばならぬのだ。

五

「のう、太夫――雪どの」

と、浪路は、なおも焼け付くような目で、あからさまに、雪之丞を凝視して、烈情に、身もがきせんばかりに、

「わたしは、まそッと、まそッと、そなたにぴったり近よりたい。身も、こころも、魂も、二度とはなれることのないように、ひとつになってしまいたい――」

それが、叶わぬ、この生れた家の一間を、彼女は呪い、憎まざるを得ないのだった。

雪之丞は、ただ、深く、熱い歎息をむくいるだけだ。

「のう、わたしには、もはや、こんなよそよそしげな仲では、いられない――雪どの、たとい、今夜、死なねばならぬとしても、わたしは、そなたと夫婦になりたい――」

「あなたが、このお屋敷の御息女であるかぎりは――公方さまの、おん想いものであられるかぎりは、それは存じもよらぬこと――わたくしこそ、お目もじいたさぬ昔が、恋しゅうござります」

雪之丞が、さも、悲哀に充ちた調子で、そう言って、うなだれてしまうと、火のように熱い息が、彼の耳朶にふれて、そして、驚くべき囁きが、聴かれるのであった。