Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Leggi 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) di 三上 於菟吉 (みかみおときち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 344.083 caratteri · 673 schermate

Aozora Bunko

四

そして意識的に、一種媚びを含んだ微笑をすら口元にほのめかして、見せるのだった。

四

雪之丞の、ほのかな微笑で飾られた、呪いの目は、その桟敷に、とりわけ、一人の宗匠頭巾の、でっぷりした、黒い十徳すがたの老人と、それに並んで、いくらか、身を退らせている、限りなく艶麗な、文金島田の紫勝ちないでたちの女性とを見る。

一目で、雪之丞に、それが、曾て長崎で威を張った土部三斎と、当時、柳営の大奥で、公方の枕席に侍って寵をほしいままにしているという、三斎の末むすめであるのをさとった。女性が、さも一個の処女らしく、髪のゆいぶり、着付の着方をしているのは、公衆の前に、大奥風のすがたを現すのをはばかってであろう。

その、左右に、直参髷の武家、いずれも中年なのが二人、うしろには、富裕なしかし商略に鋭そうな目付をした、顴骨の張った痩身の男が控えていた。その外は、供の者であろう――

と、雪之丞は、その後方の男女の中に、ふと、自分に向けて注がれている、激しい憎悪の視線が、まじっているのを感じた。すべての目が、讃美と、いつくしみを漲らしているのに、たった二つの瞳だけが、嘲りとも、怒りとも、いいようのない、きらめきを宿しているのに気がついた。