Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Leggi 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) di 三上 於菟吉 (みかみおときち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 344.083 caratteri · 673 schermate

Aozora Bunko

雪之丞は、運命のいたずらに、呆れ果てた。

――蠅一匹殺したくはないのだけれど――ことに依ったら、この女を、何とか始末せねばならぬか知れぬ。

雪之丞、毒蛇のように、火を吐かんばかりに、みつめて来る、相手をチラリと見返して、

――思い直してくれればいいのに、何という執念ぶかさ!

「何をじっと見ていなさるのさ」

お初は、手酌で、杯をふくみながら、

「あたしの顔が、蛇にでもなったの? 角でも生えたの?」

「ではこういたそうかしら」

と、雪之丞は、強いたやさしさで、

「折角の、そなたの心持、このまま、別れてしまうのも、何となく、わたしも心淋しい――さりとて、この家では、どういたそうとて、人目もある――」

「ま!」

と、お初は、急に、生き生きと、躍り立つような目顔になって、

「嬉しい!」

「大分更けたようだし、そろそろこの家を出た方が――」

「で、これから、どこへ行くつもり」

お初は、猪口を、器用に、水を切って、

「外は寒いから一つおあがんなさいな」

雪之丞は、うけたが、呑まずに、膳に置いた。

「待乳山とやらの下に、しずかそうなうちがありましたが――」

一〇

二人一緒に、芝居茶屋を出ることが、はばかられるので、山ノ宿、文殊堂の裏手で、まち合せる約束をして、まず、雪之丞が座を立った。