Classici giapponesi con furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Leggi 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) di 三上 於菟吉 (みかみおときち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 344.083 caratteri · 673 schermate
だけれども、彼女には、それが出来ぬ。雪之丞の、五体から発散する、微妙精美な光の糸のようなものに、ますます縛呪されてしまって、身じろぎが出来ないのだ。
――うう、くやしいッ!
と、お初は、わが身をつかみしめる。
――どうして、あいつの、あの色香や、あの心意気を、蹴飛ばすことが出来ないのだ! 畜生ッ!
呪えども、憎めども、彼女が、不思議な恋の蠱じの環を、どうしても抜けることが出来ぬうちに、大喜利も幕になった。
しおしおと、引かれた幕をみつめて、出てゆかねばならぬお初――
雪之丞は、雪之丞で、楽屋に戻る――この興行も大入りの中に、明日が千秋楽――十日ほど休んで、新しい狂言の蓋が、あけられる予定だ。
さまざまな思いが、湧き乱れて来る胸をしずめて、鏡台の前に坐って、おしろいを軽く落していると、外から飛び込んで来た男衆の一人が、だれにいうともなく……
「いや、おそろしいことだ! 浅草から下谷へかけて、大変な騒ぎですが?」
「何、大変な騒ぎ?」
と、居合せた若い役者が、
「一たい、何がはじまったのですね?」
「何でも、日本ばしの方で、ぶちこわしが始まったとかで、あぶれものたちが、血相を変えて走っているのですよ」