Classici giapponesi con furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Leggi 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) di 三上 於菟吉 (みかみおときち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 344.083 caratteri · 673 schermate
「よかったわねえ」
そうした言葉が、土間でも、廊下でも、いつまでも語りかわされるのだった。
ところが、不思議な現象が浪路の上に起った。
彼女はかなり朗らかな気性で、絶えず微笑を消さないような娘であったが、急にぱったりと黙り込んで、杯にも手を出さなくなってしまった。
「御気分が、お悪くなったのでは?」
と、老女が、気がついたように訊ねた。
「いいえ、何でもないのだけれど――」
小さい絵扇で、顔をかくすようにして目をそむけるのだった。
浪路が、勿論中心をなす一行のことだ。茶屋で中休みしている間にも、どうかして気を引き立たせようとこころみるのだったが、しかし、さっぱりその反応は見られなかった。
彼女は、じっとうつむいて、白い手先を、膝の上にみつめたり、ぽうっと遠くを見るような目をしたりしたまま、はかばかしく受け答えもしないのだった。
「気先あしければ、立ち戻ろうか?」
三斎がいった。
「いいえ、いいえ」
と急に熱心に、浪路は、かぶりを振った。
「みんな見てもどりましょう――折角たのしみにしてまいったのでござりますもの――」
浪路のこの言葉は、つき添の女中たちをよろこばせるに十分だった。