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もめんいぜんのこと

木綿以前の事

柳田 国男

木綿以前の事「女性」1924(大正13)年10月、何を着ていたか「斯民家庭」1911(明治44)年6月、昔風と当世風「彰風会講演」1928(昭和3)年3月、働く人の着物「旅と伝説」1936(昭和11)年7月、国民服の問題「被服」1939(昭和14)年5月、団子と昔話「ひだびと」1936(昭和11)年3月、餅と臼と擂鉢「社会経済史学」1934(昭和9)年1月、家の光「家の光」1926(大正15)年2月、囲炉俚談「文学」1935(昭和10)年3月、火吹竹のことなど「知性」1939(昭和14)年4月、女と煙草「ひだびと」1939(昭和14)年2月、酒の飲みようの変遷「改造」1939(昭和14)年2月、凡人文芸「短歌研究」1934(昭和9)年2月、古宇利島の物語「短歌民族」1933(昭和8)年5月、遊行女婦のこと「俳句研究」1934(昭和9)年4月、寡婦と農業「農業経済研究」1929(昭和4)年10月、山伏と島流し「俳句講座」1932(昭和7)年8月、生活の俳諧「第一高等学校講演」1937(昭和12)年12月、女性史学「実践女学校講演」1934(昭和9)年7月、女性史学「民間伝承」1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,586 字 · 348 页

青空文庫

なるべき希望は無く、依然として一年の他の半分三分の二は、今のような慢性失業状態の下に煩悶せねばならぬであろう。すなわち日本の農業には、とくにこういう本質上の制限がある故に、小作が仮に好条件をもって自作農となっても、なお繁栄する農場を独立せしめることができぬのである。

自分は将来の学者の研究が、当然に何とかこの難問を解決することを信じている。がとにかくに現在の有様では、人はまだ何故に日本の農業が、こんなに遣りにくくなって来たかの、原因をすらも知っておらぬ者が多かりそうなのである。それというのが一切の農業経済の知識を、あたかも後家女房の煮売り店の食物のごとく、すでに調理して食べられるばかりになっているもののように、また買いに行けばいつでも買えるように、誤解していた結果である。若い学徒が世の中へ出ての第一次の活躍は、観察でありまた思索でなければならぬ。自分の頭をもって判断を組立てることでなければならぬ。今日の世の中くらい、学問の受売りの困難になっている時代は、古今その例が無いのである。

筆者申す。この一文は数カ月以前、某学校での講演の手控えである故に、説明がだいぶ啓蒙的になっている。