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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

56 負け戦

(ふん、きのうは人間隊のために、すっかりやられてしまったかと思ったよ。あのまま、こっちへ人間隊に来られると、こっちも、かなり苦戦におちいったかも知れん。人間隊が退却してくれて、幸いだった)

と、丸木は、きのうのことを思い出して、ふふふふと、うす笑いをした。

千二少年は、丸木の身のまわりを、かたづけて出ていこうとした。それを見ていた丸木は、

「おい千二、ちょっと待て」

「はい、兵団長」

千二少年は、あいかわらず、丸木のため電気帽をかぶらされ、電波囚人となっているから、何でも丸木の命令にしたがう外ない。

「お前、きょうは顔色が悪いが、どうかしやしないか」

丸木は、めずらしく少年に、やさしい言葉をかけた。

「はい。けさから頭が、われるように痛いので、こまっています」

「なに、頭がわれるように痛いか」

丸木は、何か考えていたが、やがてうなずき、

「電気帽で、あまりきつく、この少年の脳をしばったせいかも知れん。千二に今死なれては、おれは困る。じゃあ、すこしゆるめてやるかな」

とひとりごとを言って、千二のそばへ近づくと、電気帽に手をかけた。

「あ、痛っ、痛い痛い」

千二が飛上った。