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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

60 追撃

丸木艇と蟻田艇の一騎打はつづいた。

だが、勝負はなかなかつかない。

丸木艇が、怪力線をうちかけると、蟻田艇は、遮蔽網でふせぐ。また、蟻田艇が、ガス砲弾をぶっぱなすと、丸木艇は、たくみにこれをかわして逃げてしまう。

まるで巴のように、敵味方は、ぐるぐると、うちつ、うたれつ、上になり下になり、追いつ、追われつ、死闘をくりかえした。だが、勝負はつかない。

「博士、丸木艇に、一つもガス弾が、あたらないのですが……」

と、新田先生が、ついに悲鳴に似たような声をあげた。

「あたらぬとはおかしい。おちついて、一発必中と、よくねらえ」

「はい」

大空艇は、またもや空中に反転して、丸木ののった宇宙艇を追う。

「あっ、丸木が、窓からのぞいて、こっちを見ていますよ」

千二が叫んだ。

「え、どこに。どの窓か」

博士は、テレビジョンをつけた。配電盤上に、雑誌をひろげたくらいの四角な映写幕が、みどり色に光り出し、丸木艇をうつし出す。

「一ばん、あたまのところです。うす桃色に光っている窓から、丸木がのぞいています」

博士は、テレビジョンの倍率をたかめて、しきりに映写幕にうつる像を大きくしていく。