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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
67 出陣
「そこにあるハンドルを、しっかりにぎっておれ」
「はい、これですね」
「そうだ。わしが命令したら、その盤の上にかいてある数字を見ながら、左へまわしてくれ」
「はい、わかりました。このハンドルをうごかすと、どうなります」
「それは、いよいよ火星へ上陸した時、この大空艇の扉をあけるためだ。扉をうまくあけないと、大空艇の内部と外部との空気の圧力がちがうから、大事な機械がこわれるおそれがあるからだ。だから、わしの言うとおり、うまくハンドルをうごかしてくれ」
「はい、わかりました。どうぞ……」
博士は操縦席について、しきりに計器類のおもてを見まわしながら、たくみにスイッチを切ったり、目盛盤をうごかしていたが、大空艇はだんだんと速度をゆるめ、ふわりふわりと、しずかに下へおりていくのであった。
白く光るのは、海面であろうか。そうして、その中に、象の鼻のように、ながくのびている、くろいものがある。それこそカリン岬であった。
「おい新田、はじめるぞ。用意はいいか」
「はい、大丈夫です」
大空艇は、そのあいだにも、どんどんさがっていた。大地だ。まっくろな大地であった。その大地が、もり上って来る。