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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
そこで、彼の果断は残忍をいとわぬ事になって来ました。すなわち、自分を別にして、手下の者を五ツの組に分け、数えあげたその邪魔ものを、疾風迅雷に手分けをして刈り尽くそうという考え。
そこで、各が引当てた「暗殺の籖」の結果は?
紙縒の端を順にひろげて見ました上、役割はこうと極まりました。
雲霧の仁三の組…………徳川万太郎を暗殺する。
尺取の十太郎の組………目明しの釘勘を暗殺する。
千束の稲吉の組…………丹頂のお粂を暗殺する。
四ツ目屋の新助の組……道中師の伊兵衛と馬春堂の二人を暗殺する。
秦野屋九兵衛の組………相良金吾を暗殺する。
そして最後に親引きとして残った日本左衛門の籖は、もう見るまでもありません。――切支丹屋敷のお蝶。
暗殺の籤を引いて、各の決行する仕事をさだめた後、夜光の短刀のことについてもいろいろ打合せを済まして、
「さて、つぎの寄合は土用の辰の日とする。場所は河岸をかえて上総の鹿野山、場所は上総の鹿野山」
と、日本左衛門が一同の耳へもれなく届くように、こうくりかえして――
「いいか、日は土用の初めの辰の日、時刻は宵の六ツ半から七刻の間、鹿野山の額堂に集まることだぜ。