轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
かなりな量を無理にあおったので、今になってその胸が、炎になってやけるのでしょう。
ひょろりと立つとすぐまた倒れて、積み上げてある座蒲団の山へ寄りかかったまま、肩に波をうたせて苦しげに寝入りました。
そのさまを眺めて、楽屋では、
「どうしたのだろう? ……」
と一座の男女が、明日からの生くべき途の心配です。はかないものよ、汝の名は旅芸人なりと、ふだんの道化役が道化たことばも出ないで、ふさぎ込んでいるさまも哀れです。
二、三人の古手屋が来て、値ぶみをしたがらくたや古着の類を、楽屋からかつぎ出して行ったのを、お粂はうすうす意識していました。
それから、その金を分配して、一座の男女が、それぞれの思うさきへ、落ちて行ったのも知っている。
小屋にはお粂ひとりとなりました。やけ酒がまわって、苦しみながら寝入ったとばかり思えたお粂は、積み上げてある座蒲団のくずれた上へより懸ったまま、いつかシュクシュクと泣いています。しゃくり上げて泣いていました。
だが、こういう場合に女が泣くのは、女それ自身が嗚咽するのか酒がすすり泣くのか分らない例がままあります。あるいは、お粂の今の場合は、折角、自分の術中におさめたと思ってよろこんだ金吾が、あの惨状に変って忽然と居なくなってしまったので、そのさびしさが芯からこみ上げて来ているのかも知れ