轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
「この金吾が、お粂の色におぼれている武士であるかないかは、これを見て知るがいい。お粂の生首の代り、遺物として貴様にくれてやるから、取っておけ」
一つかみの黒髪は、やにわに、彼の面上へ投げられました。
暗に投げられた妖婦の黒髪は、煙のように散らかって、ひとすじひとすじ、愛慾の息をつき、悲恋の呪いを描くものの如く、日本左衛門の顔や肩にまつわりました。
「えい、うるせえッ」
その黒髪を断つが如く、颯然と鳴った大刀は、白光の火を縦に曳いて、金吾の真ッ向へ落ちてくる。
と。
一宮流の抜刀法――金吾の刀は抜く手の音もさせません、かれの憤然たる初剣をかわして、来の了戒のあざやかな鉄色が、静かに、そして鋭く、眼光刀光が一すじになって詰め寄ろうとしています――平手青眼のかたちに。
「むッ」
と、気をふくんだ日本左衛門。
「…………」
ミリミリと手にしている刀身に、彼の殺気がシビれて来るように感じたでしょう。金吾はいちだんと精をあつめて、らんらんたる双眸を研ぎすまし、彼の隙をうかがいました。
――が、そうしているまに、早くも本堂の階段や、そこ、ここには、山門の方から手分けをした捕手が、土足で廻廊にふみ上がって、逃げまわる和尚の法達と八助を追って、御用、御用、という声を暴風のようにわめかせております。