轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
と――案に相違して、どういう虚を見たか、やがて、かえって金吾の方から少しずつ攻勢をとってゆきました。と言っても、三、四寸ずつ――鶺鴒の尾を振るように、了戒の切ッ尖が微光を発しながら、相手の胸板へ迫ったに過ぎませんが、今、おそるべき殺気を撓めきッている彼の剣下へ、一尺と迫ることは、半ば、死のふちへ足をかける覚悟でなければなりますまい。
とたんです――眠龍の髯に触れたように、彼の気合が耳をうッたかと思うと、相良金吾のからだは斜めに走ッた日本左衛門剣風の先に跳んでおります。
が、むしろ、それは金吾としてあざやかなかわしかたでした。彼の気合を空刃に反らしたところで、金吾はおそろしい速度で斬りかけました。左刃、右刃、息もつかせぬ攻勢です。
タタタタと五、六歩の間、日本左衛門もまったく受け身にならざるを得なかったくらい。
「オオッ」
いずれの声だったかわかりません。
日本左衛門が剣勢を改めて踏み止まったとたんに、当然、両方の刃が火を磨りました。まッ暗な伽藍のなかに、異様の鉄のにおいが流れる。
御用、御用。
庫裡や方丈の方で騒擾たる人の足音が絶えません。そして、そこから見れば、山門の方は火を焚いたような提燈の明りです。