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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

「すると、ずいぶん古い家がらだな」

「だからこの武蔵野の草分けは、江戸太郎でもなし、太田道灌でもないし、徳川家康でもないということになる。文化の江戸ッ子はべつものとして、単に血すじだけの上からいうと、真の江戸ッ子の生えぬきというのは、高麗のコクリつまり朝鮮人ということにもなる」

「なるほど」

「が、どうする? この埴輪を」

「そうだ」

と、話のわき道からわれに返りました。

「そんな物は、自分たちのさがす、夜光の短刀に縁はない」

「いや、まんざら縁がないでもないぞ」

「どうして?」

「聞けば高麗村のやつらも、御隠家様とやらの命をうけて、密々に夜光の短刀をたずねているというではないか。さすれば、こッちの仇がたきだ」

「オオ。たたき壊してやれ、その土偶を」

「こうか!」

というと安蔵が、手に持っていた埴輪を、力まかせに彼方の樹の幹へ向ってなげつけました。

素焼の土偶は粉になって、四方へ破片を飛ばしたのです。すると、その樹のうしろあたりから、あっと言って姿を見せた男女がある。

それは、彼等のいぶかしい行動に目をみはりながら、そこに潜んでいたおりんと半五郎です。――その二人がにわかにバラバラと駆け出すのを見て、