轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
生ける墓場はまッ暗です、どこからほうり込まれたものか、明暗の境を知らずに飛び込まされた雲霧の仁三と四ツ目屋の新助には、後でいくら考えても分らない。
正気がついた時にはそこに居たのです。夢から醒めて、夢より不可思議な暗やみにいる自分を発見して、今が夢か前が夢か、その判断もつかない気持です。
何しろそこは地底にはちがいない。音と光のない世界です。しかし決して窮屈なせまさでもなく、立って歩くに不自由はなく、横に進んで鼻がつかえる程でもない。いったいどれくらいな広さがあるのか、光と音響がないのでそれも暫く想像がつきません。
ところが、時間にして約一夜も過ぎたかと思われるころ、初めて、墓場の空に薄い光の穴があきました。見ると、その一道の丸くさした光線の中へ、ポーンと何か落ちて来たかと思うと、光の穴はすぐ閉じられて、また前にまさるうばたまの暗やみ。
すこし頭脳がヘンになったか、雲霧も四ツ目屋も、茫然としたまま膝をかかえて、その見えない暗にひとみを据えていたのです。――するとどことなく、不思議な空気のうごめきを感じました。何か力のないものが、上から落としたものを探って這い集まってくるような感じです。