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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「何を観測しているのかね」
と、蟻田博士は、望遠鏡のそばへ寄って来た。
「ああ、博士。ちょっと待って下さい」
新田先生は、そう言って、博士をとどめた。ちょうどその時、新田先生は、望遠鏡の中に、赤い点のようなものが、ぶるぶるふるえながら、動いていくのを見つけていたのであった。
(これが、例の火星のボートではないかしらん)
新田先生は、胸をわくわくおどらせながら、しきりに接眼レンズを前後に動かした。
すると、例の赤い点のようなものが、だんだんはっきりして来て、やがて砲弾をうしろから見るような形をしていることや、その尾部からガスらしいものを、しゅうしゅうとふき出していることまでが、はっきり見えて来たのであった。
「あっ、見つけた」
新田先生は、思わず声をあげた。たしかに火星のボートといわれる一種のロケットであった。しきりに上下左右にゆれてはいるが、火星のボートは、いつも同じ尾部を見せていた。スピードをあげ、どんどん前進していくところらしい。その行手は、やはり火星なのであろうか。
「何を見つけたのかね。ちょいと、望遠鏡をわしに貸しなさい」
蟻田博士は、新田先生の体をおしのけるようにして、望遠鏡に目をあてた。