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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

と、博士の耳もとで早口に言った。

「博士、課長や警官を見ごろしにするのですか。私はもう、がまんが出来ません。ガスピストルを撃ちますが、いいですか」

「待て、ガスピストルを撃つには、いい折がある。火星人のゆだんするまで待て」

と、博士は先生の手をしっかりとにぎって放さない。

その中に、課長も動かなくなる。他の警官たちも、火星人にかなわず、みんな長くのびてしまう。立っているのは火星人だけになった。それを見た博士は、

「今だ!」

とさけんで、黒マントの下から、ガスピストルの口を出して引金をひいた。

ついに蟻田博士の手によって、ガスピストルから第一弾が撃出された。

ごうん。

ぱかっというような音がして、その弾丸は一番いばっていた火星人の横腹に見事命中して、黄いろいけむりが、弾丸のあたったあたりから、もうもうとたちのぼった。

火星人たちは、思いがけない出来事にあって、その場に茫然と立っていた。気をのまれたかたちである。

弾丸が腹に命中したその火星人は、

(おや、へんだぞ!)

というような身ぶりをして、黄いろいけむりがたちのぼる自分の腹を、触手でしきりに撫でまわしていた。