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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

先生は、ちょっと、がっかりしたかたちであった。

ちょうど、その時、扉がひらいて、博士がかえって来た。

「博士、異状はありません。ひきつづき丸木艇のあとを追っています」

と、先生は、すぐ報告をした。そうして、席を博士にゆずった。

博士は、どうしたわけか、のぼせたように、頬を赤くしていた。そうして席につくと、すぐさま二人の方へ顔をむけて、

「まだまだ、道中はながいから、お前たち、こっちの寝室へいって、ねてきなさい」

と早口で言った。

蟻田博士は、千二と新田先生とに、寝室へ引取って、寝てこいというのだ。

二人は、博士の言葉がだしぬけだったので思わず、目と目を見合わせた。だが、火星まで、丸木艇を追っていくときまれば、まだまだ先はとおい。ここらで休息をしておくことは、いいことであろうと思ったので、新田先生は、

「じゃあ千二君、あとを博士におねがいして、しばらく、寝てこようではないか」

と、千二をさそった。

もちろん、千二は、先生の言葉にしたがった。二人は、寝台のついている別室にはいった。

その寝台というのは、ちょっと風がわりな形をしていた。それは、ちょうど列車の網棚を、もっと深くしたようなかっこうになっていて、体を入れると、すっぽりとはいり、下に垂れさがる。