轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 页
「オ。……お社だ」
彼は、拝殿の前へ駈けて行くなりそこへひざまずいた。何神社とも思わず無意識にべたと両手をついていた。折も折、心魂のおののきを彼も禁じ得なかった。――真っ暗な拝殿のうちに、一穂の御明しは消えなんとしながら消えもせず、颯々と風の中にゆらいでいた。
「――八大神社」
彼は、拝殿の額を仰いで、大きな力を味方にもったような気がした。
「そうだ!」
ここから真下の敵へ逆落しに斬り入ってゆく自分の背には神があるとする強味――神こそはいつも正しきものに味方し給うものという強味――むかし信長が桶狭間へ駈けてゆく途中でも熱田の宮へぬかずいたことなども思い合わされて、なんとなく欣しい吉瑞!
彼は、御手洗の水で口漱いだ。さらにもう一杓子含んで、刀の柄糸へきりを吹き、わらじの緒にもきりを吹いた。
手ばやく革襷をかけ、鬢止めの鉢巻を木綿で締めた。そして足を踏み馴らしながら神前に戻って、拝殿の鰐口へ手をかけた。
四
――手をかけて。
(いや! 待て)
と武蔵は、手を離した。
縒り合せた紅白の色も分らぬほど古びている木綿の綱――鰐口の鈴から垂れている一条の綱――
(恃め、これに縋れ)