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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

「ここが曲者の出入口にちがいない」

「しかし、これには、二道ありと誌してありますが……」

「まあよいわ、とにかく急げ」

無音、無明の間道です。いかに何でも、月光の下を飛ぶようには行きませんが、とにかく迷わずに進みました。

すると、岩壁の誌文にたがわず、間道は途中から二股にわかれています。そこで、二人は、そのいずれへ行こうかについて、しばらく案じ合いましたが、結局、万太郎は北方の一道へ向い、金吾は西へ向ってその出る所をつき止めることに一決しました。

西道は白丘に通ずと言い、また、北道は渓水より袖海に達すとあります。――さてそこで、ふた手にわかれた二人の行く先に、各※(二の字点、1-2-22)どんな視界が開けて来たでしょうか。

夜光朝光

この二筋の間道――分れて何処へ出るものやら知れませんが、とにかく外部へ出るものと仮定して、後に落合う所を約束し、金吾は西へ、万太郎は北方へ、各※(二の字点、1-2-22)方角をべつに急ぎました。

暫く暗をたどると、万太郎のとった行く手の先に微かな明りが見えだして来ます。

「意外、ここはお茶の水の谷底だ」

そうです、やがて彼が出た所は、茗渓の底で間道の口は、青黒い水が波紋を描いてヒタヒタと流れている。