轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
の地底から意外な事件が勃発して、ここに人獣争闘の原始劇をそのままな惨鼻が白日の下に演じられました。
外部に裏切者がいたのかも知れません。――でなければ、あの生ける墓場の穴蔵へ外の消息がわかるはずもなし、また、そんな隙のある機会に、彼等目なし魚同様なものの神経をさまして、その脱出を企てさすような、強い刺激のある光線が流れこむはずがない。
とにかく、村の者が、お蝶の逃げたことに騒ぎ合っている頃に、誰か、山の会堂から地底へ通じる隠し口を開けた者があって、そこから外部の光線が千年目に夜明けの来た太陽の如く、さッと生ける墓場にさし入ったかと思うと、ワーッという悲壮な声がその下から湧き揚がりました。
まるで、蛆のように這い出して来た囚われの人間と、それに驚いて駈けつけて来た切支丹族の者との間に、忽ちおそろしい活闘が起ったことは当然です。
猛然と、死から生へおどり帰った人間と、兇猛な切支丹族たちとの争闘は、そこに振り撒く血を惜しまずに戦いました。その結果は累々たる犠牲者の死体を積んで、双方が最後のただ一人となり終るまで、勝負の果てしはあるまいと見えましたが、そんなばかな真似をしていない人間が五、六人ほど、いい汐時を見計らって、盆地の先の絶壁に取ッ付いております。