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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
直ちに、主人に知らせたので、主人は、店員と共に駈けつけ、目下、看病中――というのがあります」
「それもいけないね」
「はあ、名前がちがっていますが、もう一度しらべ直してみませんと……」
「主人や店員が来て、落ちついて看病しているのなら、ほんとうの店員竜田良一で、千二少年が偽名しているわけではない」
「なるほど。これもだめですなあ。では、こういうのがあります。あ、これだ」
と、佐々刑事が、大きな声を出した。
「うむ、早く読め!」
大江山課長は、思わず体を前に乗出した。
「午後九時四十分のことです。千葉県から出て来た十三歳になる少年が、大川端から投身自殺――はて、おかしいぞ。大川端から、投身自殺をはかった年若い婦人があるのを、交番へ知らせるとともに、自分も飛込み、巡査と協力して助けた。いや、これは少年のお手柄だ。千葉県から、杉の苗木を積んで、東京へ売りに来たその帰り道での出来事だった」
「なるほど、それから……」
「それから――人命救助の表彰の候補者として、この少年宮本一太郎を――あっ、やっぱりいけません」
「何だ。早く名前を読めばいいのに」
これもだめであった。
その日、少年に関係のある事件三つが、いずれも千二少年には関係のないことがわかって、大江山課長は、がっかりしてしまった。