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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「なあんだ。少年の助手は、このごろ、いくらでもいるよ」

「ところが、少し変なことになったのです」

「あまり、もったいぶらないで、どんどん先を話したらいいだろう」

「は、つまり、自動車は、脱兎の如く逃走いたしました」

「逃げたとは、変だな。白バイは、何をしていたのか」

「いえ、自動車が、猛烈なスピードをあげて逃げてしまったのです」

「逃しては、話にならないね」

「ところが、追いついたのであります」

「どうも君は、話し方を知らないね」

「いえ、課長さんが、もう少し黙っていて下さると、話しよいのですが、むやみに、おいそがせになるもんですから困ります」

「何だ。手のかかることだね。よろしい、では、君が喋り終えるまで、こっちは、一言も喋らない。だが、もっと要領よく、そうしてもっと早く喋ってくれ。きょうは、いつになく気が短いのでね」

「は、それでは……」

と、主任は、例の追跡談をくわしく語り出したのであった。ついにその自動車は、麻布の崖の上から下に落ちてしまったことや、運転手が、まっ逆さまに落ちる自動車の中から、半身を出して、こっちをにらんだことなどを……。

交通主任の口は、なかなか重くて、話は一向スピードを上げなかった。