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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
しかもその話はたいへん詳しいので、話はなかなかおしまいにならないのであった。
だが、さっきまで、自分でいらいらしているんだと叫んでいた大江山課長は、どうしたわけか、別人のように、たいへん熱心に、この話に耳をかたむけているのだった。もっと早く喋れとも、もっと要領よく喋れとも、どっちとも言わなかった。
「……とにかく、不思議なことです。崖下へいって、焼けおちた自動車の車体をひっくりかえして見ましたが、運転手の死体はおろか、骨一本も、そこには見当らなかったのですからね」
と、交通主任は、その時のことを思い出したらしく、ここでもう一度不思議そうな思い入れをして、首をかしげた。
「で、少年の死体は?」
課長は、やっと一言、口を出した。
「実に、不思議という外ありません。運転台に一しょに乗っていたはずのその少年の死体も、やはり見当らないのです。全く、こんな不思議なことは、生まれてはじめてです」
交通主任は、「不思議」を盛にくりかえすのだった。
「まさか、君たちが見あやまったのではないだろうね」
「見あやまり? そ、そんなことは、けっしてありません」
交通主任は、これを報告して来た白バイの巡査をたいへん信用していたので、課長から、見あやまりではないかと言われると、一生けんめいにべんかいした。