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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「はい、この縄ばりをしてあるのが、それであります」
「ふん、ずいぶん、ひどくなったものだね。もとの形が、さっぱりわからないくらいだ」
「そうであります。なにしろ、崖の高さは七、八十メートルもありますので、あれからおっこちたのでは、とてもたまりません。その上、車体はごろごろ転がりながら、すぐ発火いたしました」
「転がるところを見ていたのかね」
「はい、私は、崖の上から、それを見ていたのであります」
「そうか。乗っていた者の死骸が、見当らないという話だね」
「はい。死骸はおろか、骨一本見当らないのです。よく焼けてしまったものですなあ」
「……」
課長は、それに答えないで、懐中電灯をつけて、あたりを照らした。焼けくずれた自動車のエンジンが、地面をはっているような形をしている。そこから二、三メートル先は、小川であった。
「ふうん、これは、どうも腑に落ちないことだらけだ」
「どこが、腑におちないというのですか」
闇の中から、ぬっと顔を出したのは、佐々刑事であった。彼は、大江山課長が、何か言出すのを待っていたようであった。
「おお、佐々か」
と、課長は、後を振返り、
「どうも腑におちないことがあるんだ。