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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

さて、どんなにおどろくべきものが、室内に積みかさねられてあるのであろうか。新田先生の胸は、どきどきと大きく動悸を打った。

さて、先生の目には、どんなものがうつったか。

「あれっ」

先生は、そこに棒立ちになったまま、目玉をぐるぐるっとまわした。思いもかけないこの部屋の有様であった。

新田先生は、博士の秘密室の中で、一体何を見たのであろうか。

意外にも意外! その部屋は、空っぽも同様であった。

そのだだっぴろい部屋には、湿気のために、妙な斑点のついた床があるばかりで、その床の上には、何もないのであった。まるで、雨天体操場みたいなものであった。

「なんだ、何もないではないか」

新田先生は、目をぱちくりした。

全く何もないのであった。

「不思議だ、不思議だ。これは不思議だ」

先生は、あまりの意外さに、つづけて同じ言葉をはいた。

どう考えても変である。博士があれほど注意を払って、大切にしている部屋であるにもかかわらず、床ばかりで、何物もおいてないというのは、腑に落ちかねる。

もっとも、鼠色によごれた壁には、背の高い柱時計がかけてあった。しかもその柱時計は、なぜかわからないが、並べて二つかけてあった。