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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

それを思い出したので、課長は、博士に見せることにしたのだった。

蟻田博士は、その青い一メートルばかりの長いむちみたいなものを手にして、目を光らせた。そうして、さっき課長になげつけた言葉などは、もうわすれてしまったかのように、このめずらしい品物を、どこでひろったのかなどと、いろいろと課長にたずねるのであった。課長は、博士のきげんがなおったので、このところ大喜びだった。そうして、いろいろと説明した。博士は、大きくうなずき、

「ふむ、これは実にたいしたもんじゃ」

と、いすの上にこしを下した。

蟻田博士が、ひどく感心した顔で、

(これはたいしたものだ!)

と言った長さ一メートル余りの、むちのようなものは、一体何であったろうか。

それを箱から出して、博士の目の前へ押しやった大江山課長は、博士のまたたき一つさえ見おとすまいと、じっと見つめているのであった。

「いかがです、博士。これなら博士をおひきとめした値打はあったでしょう」

博士は、ふんふんと、ただ間に合わせの返事をしながら、その青いむちのようなものを、しきりにひっくりかえして見ていた。やがて博士は、その一方のはしが、すこし太くなっているところへ、指先をあてて、押したり、離したりしはじめた。