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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

どうか喜んで下さい」

新田先生が、早口で説明すると、課長は、

「なに、蟻田博士が発明したって? あの博士がかね」

新田先生は驚いて、そばにいる博士の顔を見た。

博士は、ただ笑っている。

「ねえ、課長。わたしたちは思いちがいをしていたのです。博士はりっぱな人物です。そうして人類の大恩人ですぞ」

「それは、どうかな」

博士は、にが笑いをして、やむなく課長に声をかけた。

「おい、大江山さん。そのおかしな博士は、ここにいて、あんたの手に繃帯を巻いておるよ。わしのことは後でゆっくり新田から聞くがいい」

「やあ、あなたは蟻田博士……」

「驚くことはないよ。それよりも、いよいよ明日から全国の火星人征伐をやりなさい。十号ガスはたくさん用意があるから、いくらでもあげる。今夜は休んで、明日突撃隊でも作って、その先頭に立つがいい」

と言って、博士はすたすた引返した。

ああ、十号ガスのすばらしいききめ!

ガスピストルやガス銃を持った突撃隊が、警視庁に勢ぞろいをしたのは、翌日のおひる近くであった。

ガス弾の原料は、博士の屋敷あとへいくと、いくらでも出て来る。博士は地下の原料タンクから地上まで鉛管を何本も出して、ポンプで吸出すように仕掛を作っておいたから、雷管のついた薬莢さえあれば、いくらでもガス弾は作れるのであった。