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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
火星兵たちが、こんなうわさをして、黒い帽子に黒いマントの二人づれのあとを見送っている。
このいやな奴と言われた二人こそ、じつは蟻田博士と新田先生とであったのだ。二人は、突撃隊よりも一足先にこの山中にまぎれこみ、大胆にも、今こうして火星兵のいるまん中を、のっしのっしと歩いているのだった。もちろん二人ともだまって歩いている。黒い目がねの下から、二人の目があやしくぎらぎらと光っている。二人は何をしようというのであろう。
(もう、このへんでよかろう。おい、新田、一、二、三で、例のことをはじめるぜ)
と目くばせをしたのは、蟻田博士であった。
新田先生はうなずいて、早くもマントの下のガスピストルをにぎりしめた。
(それ、一、二、三。そら、はじめ!)
博士は、ピストルをマントの下から出すと、新田先生の方に手を上げて合図をした。それと同時に、博士はガスピストルの引金を引いた。
今日はピストルの音がしなかった。今日博士は、消音のしかけをピストルにつけ加えたのであった。
ガス弾は、無音のうちに火星兵の胴中に命中していく。火星兵どもは、はじめのうちは何にも気がつかない。