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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

千二は、このとき、ふと、たいへんなことを思い出したのであった。彼は、新田先生のそばへよると、小さいこえで、

「あのう、先生。もう時刻は、すぎたのではないでしょうか」

「なんだね、時刻がすぎたとは」

「先生、わすれているのですか。モロー彗星が地球に衝突する時刻は、もうすぎたのでしょう。地球は、どうなったでしょうか。こなごなになって、それから……」

千二は、そのあとが言えなかった。そうして悲しくなって、思わず先生の胸に、あたまをうずめてしまった。

「そうだねえ、地球は……」

先生も、そのあとが、言えなかった。

すると、蟻田博士が、この有様を見て、二人のそばへ、よって来た。

「お前たちは、なにをめそめそやっているのかね。ロロ新王に、おめでとうを言う日が来ているのに、泣いたりして……」

先生は博士に言った。

「千二君も私も、地球のことを思い出して、悲しくなったのです。今ごろは、地球はモロー彗星のために、粉々になって、宇宙に飛んでしまったろうというので……」

すると博士は、はたと手をうち、

「おお、そのことか。わしは、君たちに、言うのを忘れていたよ」

地球は、一体どうなったか。