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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
近所の人らしい。
新田先生は、そこでしずかに礼をして、はいっていった。先生が名乗をあげると、お医者さんをはじめ次の部屋へつめかけている人までが、親切な先生が、とおく来てくれたことを感謝した。
その時、お医者さまの話では、千蔵がここにかつぎこまれて後ずっと人事不省になっていて、いくら注射をしても、気がつかないので、困っているということだった。
「それは、困りましたねえ」
と、新田先生も、おなじことを言った。
お医者さんは、千蔵の脈をじっとかぞえて首をかしげていた。
氷ぶくろを持って来たり、こまごました用事をしていたのは、千蔵の家のとなりに住んでいる佐伯さんという人だったが、彼は、新田先生に向かい、
「この千蔵さんは、天狗岩の上で、ひっくりかえっていたんです。あのとおり大怪我をして、虫の息だったんです。出血多量というやつで、今朝がたに輸血までしたのですが、ここらで気がついてくれればいいのですがねえ」
と言った。
それを聞くと、新田先生は、
「では、千蔵さんは、なぜ怪我をしたか、まだそのわけを、だれにも話していないのですか」
「そうです。なにしろ千蔵さんが、人事不省のままここへかつぎこまれたのですから、よくわからないですが、とにかくお聞きでしたろうが、火柱にやられたらしいと噂しています」